その1

ベルギーの鬼才、De Dolle Brouwersデ・ドレ・ブルワーズは訳せばThe Mad Brewers 狂った醸造家達。

1980年、建築を学んでいたクリスら兄弟が醸造所を始めようとしたところ、こんな時代に絶対無理だ。狂っていると多くの人に言われたそうな。
クリスは週初め画家として生活し
醸造所のデザイン、ラベルのデザインも行い、醸造家としては世界から尊敬される人物でもある。まさに鬼才。

西フランダース州でひっそりと家族経営の醸造所を営んでいるが、週末の醸造所見学や週末解放のウルバールには村の人でごった返すどころか世界中の醸造家か訪れる。クラフトビールで知られるブルードックのオーナーでさえここを訪れて感銘を受けている。

この醸造所からビールを直接買うようになるまで僕はおそらく2006年あたりから4年間くらい、ここに3ヶ月に一度ほど通い続けた。電車やバスがストライキの時には200ユーロ以上かけてタクシーで向かい、マイナス14度で誰も外に出ないような日も会いに行った。

諦めかけていたけど、相変わらず飲みに行っていた。彼から「ビール買う気ある?」と聞かれた時にはその場で飲んでいる村の人たちを集めて気が変わらないように確認した。

「みなさん聞いてください。クリスが僕に、いや日本にビールを輸出してくれるといま言いました。この街のみなさんはその証人になってくれますか?」

村のみんなは

「もちろん。乾杯しよう。フゾンテ!」

というわけで直接取引が始まることに。

そこからまた次の夢ができ、こんな場を日本でもやりたいと思い始め、今度はお店をやりたいとクリスや奥さんのエレスに飲みながらお願いするようになる。クリスは同じ場所に一、二分くらいしかいないから毎回ちょこっとしか話せない。店が閉まる頃まで飲んで待つわけだがその頃には酔っ払ってしまう。。

またもや、最初は冗談にしか思ってもらえないのだか、諦めずに、昔と同じく何度も何度も足繁く醸造所へ向かう。
ストライセとかベルナルデュスとかデ・ランケ醸造所などの人達にもわざわざ連れて行ってもらったり、迎えに来てもらった。

そしてまた5年ほど経ち、
そんな彼らと僕らは世界で初めてのお店を秋葉原に作ることになりそうだ。

奥さんのエレスに言われた。
ちょっとお願いされたって絶対にオッケーしない。何度も何度も伝えてくれたから、最後はあなたの執念よ。

クリスは記念になのか彼らの秘蔵ビール ウルビア レゼルバという樽で熟成されたフランダース・レッドの2013のヴィンテージを持ってきて、飲み終われば頼んでもないのに2012のヴィンテージまで開けてくれた。(アメリカやベルギーでも信じられないくらいの高価でヴィンテージは取引されます)

そしてベルギーでも名店クルミナトールなど50店にしか配られていない、ウルビア販売許可証までいただいた 笑

というわけでアニメの街、秋葉原にウルビアマン(黄色いキャラクターです)がやってきます。

お楽しみに。

あ、一応、アラビアとウルビアの○るがオープン時に提供される予定です。