その4

ベルギーから帰国しましたので
早速「初陣 Uijinの醸造について話したいと思います。本当はメールマガジンのコラムに書く予定だったのですが、帰国後間に合わず。。なのでブログ掲載とさせていただきます。

メールマガジンもコラムを書いたりしていますのでぜひご登録下さい。
http://www.belgaube.jp/page/magazine

4年程前から醸造を少しづつ学び始め、ストライセ醸造所、デ・ランケ醸造所、デ・ラ・セーヌ醸造所やジャンデラン醸造所に助けてもらいながら本格的にベルギーでのビール醸造をスタートさせました。

4年前に作って樽熟成を行っているものが「リオ レゼルバ」。2008年2月にストライセ醸造所(Ratebeer.comで世界一となった醸造家)と「リオ」を醸造し、サンテミリオンから仕入れた新樽にて4年熟成させたものでもうすぐボトリングします。10%以上のアルコールに加えて長い余韻でスモーキー。強烈に印象に残るビールであり間違いなく我々の代表的な作品となります。

そして、今年になって醸造したビールが「初陣 Uijin」です。まだラベルも作っていないようなビールですが、5月1日のベル・オーブ六本木8周年とブリュセレンシス ビアフェスティバルにて提供する予定です。

私自身「初陣 Uijin」をどのようなビールにするか考えた時、ジャンデラン醸造所

苦みや甘みやスパイスを加えてビールとしての味を目立たせる事は可能でしたが、日本人のプロダクトとして食事に合わせる事を考えるとビール一杯だけが主役となる事をさけようと考えました。そのため過度な香りや苦みを伴わないようににする事に。

ですのでこのビールにはスパイスを使わず、日本にて多く飲まれるビールと同じアルコール度も5%。その中で苦みも協調しすぎない。他のビールとの差別化などの視点からすると非常に難しい難題となりました。

まず、小麦では酸味がかすかにあらわれるため小麦麦芽を使う事にしました。あまりに苦みを強くすると小麦麦芽を使う意味もあまりないですし、先程書いた通りIPAや苦いブロンドビールと同じになってしまいます。しかしながらドライホッピングを2回行いました。それを聞いた方はIPAに近い物をを想像された方も多いかもしれません。しかしこのビールはIPAと違い苦みを強めるものではありません。新しいドライホッピング、発酵方法を取り入れています。口の中をスッと抜け、軽やかに香るためだけに大量のホップフラワーを投入しています。食を切るための苦みを求めるのではなく、だからこそ苦みを出すためのビタリングホップにも通常ビタリングに使わないホップを使用しています。まさに日本の繊細な美を消さないビールの美を表現するビールです。少しでも醸造を間違えば良さも何もないビールになってしまうような。

もちろんこのビールは進化させる予定です。ビール単体での味わいを求めるなら、別のベルギービールやクラフトビールを味わった方がよいかもしれません。しかし「初陣」の名前の通り、みなさんも一番最初のビールとして楽しんで欲しい一品として醸造います。ぜひお楽しみ下さい。

菅原